ひとりごと

2007/01/16

好きな映画


とても良い映画です。
エリック・シーガルの小説を映画にしたそうで。
私は映画だけ見ました。

村上春樹の小説「アフター・ダーク」の中に
この映画のストーリが簡略にまとめてあります。
紹介します。↓


「『ある愛の詩』って見たことある? 昔の映画」と高橋は尋ねる。
 マリは首を振る。
 高橋は言う。「このあいだテレビでやってた。なかなか面白い映画だよ。ライアン・オニールは資産家の旧家の一人息子なんだけど、大学生の身でイタリア系の貧乏な家の娘と結婚して、それでばっさりと勘当されちゃうんだ。学費も打ち切られる。でも二人で貧乏暮らしをしながらこつこつ勉強し、ハーヴァード・ロースクールを優秀な成績で出て弁護士になる」
  (中略)
「それでさ、ライアン・オニールが苦労の末に弁護士になって、どんな仕事をしているかっていうと、そういうことは観客には情報としてはほとんど知らされないんだ。僕らにわかるのは、彼が一流の法律事務所に就職して、人もうらやむ高給取りになったっていうことぐらいだ。マンハッタンの一等地でドアマンつきの高層アパートマメントに住んで、ワスプのためのスポーツクラブに入って、暇があればヤッピー仲間とこんこんスカッシュをするんだよ。それだけ。」
 高橋はグラスの水を飲む。
「で、そのあとはどうなるの?」とマリが尋ねる。
 高橋は少し上を見あげて筋を思い出す。「ハッピーエンド。二人で末永く幸福に健康に暮らすんだ。愛の勝利。昔は大変だったけど、今はサイコー、みたいな感じでぴかぴかのジャガーに乗って、スカッシュして、冬にはときどき雪投げして。一方、勘当した父親の方は糖尿病と肝硬変とメニエール病に苦しみながら、孤独のうちに死んじゃうんだ。」
「よくわからないんだけど、その話のいったいどこが面白いの?」
 高橋は少し首をかしげる。「さあ、どこが面白かったんだろう。よく思い出せないな。用事があって、最後の方はよく見なかったんだ。・・・・・・」


↑を読んで、どこが面白いんだろう、と思った方は
ぜひ映画の方をご覧になってください。

村上春樹は、この映画に社会への通察が
(主人公が弁護士なわりには)ほとんど出でこないことを
少し批判しているようにも見えますが、
血縁関係のある人たちの間にあった深い溝を
どう克服するかというテーマの作品だという点では
「アフター・ダーク」とも通じるところがあると私は思っています。
 

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